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登壇レポート「高速ビジョンのエンターテイメント・スポーツ分野への展開」─ VRゲームやスポーツサイエンスにもたらす新しい価値 ─
高速ビジョンの総論から各論へ
7月24日(水)に、「第10回 WINDSフォーラム・セミナー」が開催され、当社の羽原が登壇しました。
WINDSネットワークは、東京大学大学院で研究されてきた「高速ビジョン」(高速画像処理技術)の様々な分野への展開を目指し、2016年に設立されたコンソーシアムです。現在、高速ビジョンに関心を寄せる約200の組織が参加しています。今回開催されたWINDSフォーラムは、高速画像処理技術応用事例に関する情報交換の場として開催されました。
第10回目となるフォーラムの開催にあたり、まず、主催者であるWINDSネットワーク副会長の石川正俊(当社CTO)より、開会の挨拶がありました。
WINDSネットワーク副会長 石川正俊(当社CTO) |
「フォーラムを立ち上げた初期には、高速画像処理技術とは何で、何に応用できるのか、ご理解いただくところから始まりました。当初は総論が多くを占めていました。ですが、今日は、10回目の開催ということで、5つもの各論、実際に活用された事例を発表いただくことになります。5つの事例が集まる時代になったと、当初より進んだ感覚を持っております。
ぜひ本日は、高速画像処理技術の各論のなかから、皆様がお持ちのテーマと照らし合わせて、接点を見つけていただければ幸いです。」
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エクスビジョン の事例
エンターテイメント/ スポーツ事業部 部長 羽原恭寛 |
続いて、当社 羽原が登壇し、エクスビジョンの最新ケースの中から、次世代センシング&コントロール テクノロジー「高速ビジョン」を活用した活用事例をご紹介しました。1つ目は、「高速ビジョン」とVR(バーチャルリアリティ)を利用したエンターテインメント分野の事例、そして、2つ目に、ミラーの高速制御技術を利用したスポーツ分野における事例です。
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150キロの世界最速キックにも対応
エンターテイメント分野へ実装したケースとして、今回は、「VRキャプテン翼 ~燃えろストライカー~」を、動画を交えながら取り上げました。
こちらは株式会社ソニーミュージックコミュニケーションズと株式会社タイトーと当社が共同開発したアーケード・ゲームで、キャプテン翼になった気分でシュートを決めて遊びます。サッカーボールをVR空間内に再現し、プレイヤーはVRヘッドセットを装着した状態で、ボールを実際に蹴ります。蹴ったボールはVR空間内に表示されるゲージの増減により威力が倍加され、現実では再現困難なスーパーシュートが飛び出します。昨年、数か所でロケーションテストが終了し、2019年全国に展開予定の新製品です。
エクスビジョンでは、ユーザーがボールを足にかけたり、足で蹴ったり動かしたりする際に3Dポジションを測定し、ゲーム側に伝えることを行っています。ソニーが開発した高速ビジョンセンサー IMX382 を、前方ゴールの上部2か所に設置しています。
実は、以前120 fps の技術を使用した際にはロストが発生して実現できなかったそうです。それを、今回、毎秒1000 fps で対象物を検出し追跡できるエクスビジョンの「高速ビジョン・マウントカメラキット(HSV-MC1)」が解決しました。加えて、ボールの3Dポジションをリアルタイムに測定するだけでなく、照明やカメラの位置など、ベストに動作する環境のハードウェア・コンサルティングも提供しました。これが当社ならではの特徴のひとつですが、高速画像処理の環境を整えることも非常に大事なポイントです。その結果、今回、時速150キロという、世界で一番速いキックにも対応しています。
ゲーム開発者からは、「画像処理について何も気にすることがないので、ゲーム開発にフォーカスできることができて非常に助かった」とのご評価をいただいています。今回は当社で開発しましたが、「高速ビジョン・マウントカメラキット(HSV-MC1)」をお使いいただければ、自社内でも簡単に開発していただくことができます。
卓球のボール・ポジションをリアルタイムに測定し解析
続いて、スポーツサイエンス分野から最新ケースのご紹介です。こちらは、「卓球トレーニングシステム」で、現在、株式会社VICTASと共同開発しているものです。株式会社VICTASは、日本を代表する卓球用品ブランドで、卓球男子日本代表チームのオフィシャル・サプライヤーです。卓球選手のウェアにあるロゴマークをご覧になったことがあると思います。
もともと石川・妹尾研究室では、2軸のガルバノミラー(レーザー光反射鏡)を用いる卓球システムを開発していました。それを、エクスビジョンがNHKと共同開発し、常に卓球のボールの中心を画面中央にとらえる放送技術を実現しました。ボールの中心の3Dポジションをリアルタイムに常にとらえるので、スピードや回転の解析が簡単にできる一方で、このシステムは、非常に効果で大型だという課題がありました。
そこで、今回、VICTASと練習用に特化して、より価格を抑えたシステムを共同開発することになりました。開発中の「卓球トレーニングシステム」では、測定したボールのスピードや軌跡を解析することで、プレイヤーがデータを有効活用し練習に取り組むことができます。
さらにレベルの高いプレイヤーの高速度なボールを追跡するには、毎秒1000 fpsでとらえることが必要ですので、高速ビジョンカメラを導入し、リアルタイムにスピードや軌跡を解析しています。NHKと共同開発したシステムでは、2軸のミラーを使用していますが、このシステムでは、サーボモーターを用いた一軸ミラーを採用することで、より価格を抑えることに成功しました。こちらの事例も、キャプテン翼のVRゲーム同様に、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアも含めたトータルなソリューションの提供を行っています。
さまざまな分野での応用が期待される「高速ビジョン」
対象物をリアルタイムに捉え、制御するには、高速ビジョンが不可欠となります。エンターテイメント分野でもスポーツ分野でも、リアルタイムにセンシングし、コントロールすることが求められるところには、「高速ビジョン」の活用が期待されています。
エンターテイメント分野では、リアルとバーチャルをスムーズにつなぐ体験を、広く提供することができると考えています。キャプテン翼のVRゲームのように、VR・MRアトラクションや、様々なゲームに応用することが可能です。
またスポーツサイエンス分野では、卓球のみならず他競技のトレーニングへの展開もできますし、スポーツ中継を行う放送局への活用も期待しています。
当社は、共同開発のみならず、自社開発されたいお客様向けにソリューション・パッケージとしてご提供していく予定です。具体的には、2019年末に、分野別の標準ソリューション・ライブラリーの公開や技術ノウハウの共有を新たにリリース予定です。ぜひご期待ください。
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※当日配布された『高速画像処理 基本概念・用語集』(東京大学大学院情報理工学系研究科 石川・妹尾研究室)はウェブサイトからもご覧いただけます。 |
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